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農地は宅地に地目変更登記しないと建物が建てられないの?

2023.08.10

皆様、土地家屋調査士という国家資格をご存じでしょうか?
土地家屋調査士とは、不動産の登記簿(登記記録)の「表題部」の新設、変更・更正、閉鎖等の代理申請を行う土地建物の表示登記の専門家です。

 

~「農地(田・畑)は宅地に地目変更登記しないと建物が建てられないの」~

という質問は、相続の時はもちろんのこと、建物新築前や、土地の売買時などによく聞かれます。
土地の登記簿(登記記録)には「地目」が設定されています。農地の場合「田」か「畑」と登記されています。

 

結論から言いますと、建物が建てられるかどうかは、登記の地目とは関係はありません。建物が建てられるかどうかは、市区町村の農業委員会に対して「農地転用」の許可もしくは届出が可能かどうかによります。

農地を農地以外の利用目的で利用しようとすると、農地転用許可もしくは届出が必要となります。(農地法4条、5条)
農地以外の利用目的とは、宅地、駐車場、資材置き場、運動場、公園、発電所など様々あります。
市街化調整区域など建物が建てられない地域の場合、建物建築以外の目的で農地転用を行いますので、その場合は建物は建てられません。

よって、建築を目的とした転用が出来る土地でしか、建物は建てられません。
通常、「宅地」への土地の地目変更登記の流れは以下となります。

 

➀「農地転用」の許可申請もしくは届出
② 農地転用許可書もしくは農地転用届出受理通知書の受領
③ 建物の建築開始
④ 建物完成後、土地地目変更登記(法務局) ※建物表題登記と同時にする事が一般的

 

法務局の地目の認定基準は、「予定」ではなく「現況」主義です。現実に建物が建っている土地が「宅地」となります。ですから、農地転用が終わった段階(上記②)では、あくまで建物が建つ予定であり、実際に建物が建っているわけではないので、「宅地」への地目変更登記は出来ません。

 

【参考1】

通常「宅地」への土地の地目変更登記は、建物完成後(上記④)に行いますが、様々な状況により便宜認められるケースもあります。

 

・造成工事により、側溝や道路ができていたとしても建築確認等がない場合、
建物の敷地として利用されることが確実でないので宅地として認められない

・敷地内にガスや上下水道などの施設が設けられている場合は
宅地として認められるケースがある

   

・基礎が完成している又は、大掛かりな建物の基礎工事に着手している場合等、
その状況から近い将来建物の敷地に供されることが確実に見込まれるときは宅地として認められるケースがある

 

【参考2】

以下のように現状は農地ではない場合でも、地目変更が認められない場合もあります。

 

・耕作放棄地は見た目上農地には見えないが、
通常休耕地は依然として農地であり、雑種地として登記することはできない

・舗装までして駐車場としているが、農地転用の許可を受けずに工事しており、原状回復命令が発せられている場合には雑種地として登記することはできない

 

相続される土地に農地が有り、将来転用を考えていらっしゃれば、「農地転用」の事は、お近くの行政書士、「地目変更登記」の事は、お近くの土地家屋調査士にご相談されてください。

 

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筆者紹介

江藤 剛
土地家屋調査士

事務所理念
◎お客様の大切な不動産の取引・管理に関し、正確かつ迅速なリーガルサービスを提供します。

◎常にお客様や関係する方々の立場に立ち、丁寧且つ真心溢れた業務や相談サポートに努めます。

不動産という高価な財産における不動産表示登記に関し、依頼者の権利の保全の為に登記申請や測量を行う土地家屋調査士にとりまして、正確な知識に裏付けされたリーガルサービスが基本となります。その上で迅速に業務を完遂し、お客様に権利の保全と安心を提供します。また、専門的な知識が多い不動産登記や境界確定測量に関し、丁寧且つ真心溢れた相談サポートを提供します。

例えば、お客様が永続的にお住まいになる住宅の測量業務などでは、隣接者や官公署などと境界トラブルや越境によるトラブルなどが残らないように慎重に業務をすすめる必要があります。お客様の「大切な不動産に将来的な安心を」ということを常に考えながら業務を遂行していきます。
土地の取引では不動産取引が将来に関しても安全に行われる業務や相談サポートを提供致します。
そして、常に笑顔で元気よくお客様との関係構築に努めてまいります。

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